将来、映像制作や動画編集を仕事にしたい学生や、副業やフリーランスで動画の作り方を学びたい社会人・フリーランス向けに、映像専門の学校や動画編集スクールの情報と選び方をまとめました。
この記事を書いた人:内村 航
株式会社ドウガテック代表取締役。2012年より『カンタン動画入門』を運営。動画編集ソフト・アプリのレビュー本数58本。動画編集スクール取材9校。アクションカメラ17台、α7 III、EOS8000D所有。大学講師(日本文理大学情報メディア学科、立命館アジア太平洋大学動画制作ワークショップ等)。著書:暮らしvlogのはじめ方(朝日新聞出版)、iMovieのマニュアル本(工学社 I・O BOOKS)。
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映像制作・動画編集を仕事にするか趣味にするか
最近、映像や動画を仕事にしたい人が増えています。特にYouTubeなどインターネット系の動画の需要は高く、今後さらにシェアを伸ばしていくでしょう。
動画作りを将来的な仕事や副業にしたいのであれば学校に行くか、映像制作会社に就職するか、短期の動画編集スクールで学習するか、独学してみるか具体的に考えましょう。
趣味でいいのであれば書籍やYouTubeの無料動画講座などを参考にスマホで作ってみてください。案外それで満足するかもしれません。
映像・動画作りを学ぶ4つの方法
ではどうやって映像・動画作りを学ぶか検討しましょう。
選択肢は、以下の4つがあります。
- 1.専門的な学校に入学する
- 2.有料の動画編集スクールを受講する
- 3.映像制作会社に就職する
- 4.独学で映像制作を学ぶ
1.専門的な学校に入学する
国内には映像・動画に関する専門学校や大学の学科・コースが200件以上あります。映像系の専門学校や、短大、4年制大学のメリット・デメリットを解説します。
映像系・専門学校
映像系の専門学校では2年で映像制作・動画編集などのスキルを学ぶことができます。卒業すると専門士の称号を得ることができます。
映像系・専門学校のメリット
実践的なスキルを2年程度で身に付けることができるのが専門学校のメリットです。大手テレビ局などと提携している学校もあり、卒業後はそのまま映像制作会社などに就職することができます。
映像系・専門学校のデメリット
専門学校のデメリットは、必ずしも映像業界に就職できるか分からないところです。「就職率100%」とうたっていても、映像とは関係ない会社への就職も含まれていることがほとんどです。
また、専門学校在学中や卒業後に進路を変えたくなった場合、望む業界に就職できるかどうかわかりません。いまだに多くの会社が応募要項に『大卒資格』と書いてあるため不利になることがあります。
「絶対に映像・動画業界で働きたい!」と強い気持ちを持った上で検討しましょう。
映像系・短期大学
映像系の短期大学では2年で一般教養と映像制作・動画編集などのスキルを学ぶことができます。卒業すると短期大学士の資格を得ることができます。
注意点として、映像系の短大には『教養程度の映像制作』の学校と、『しっかり映像の専門教育をする』学校に別れています。
教養程度の短大だと、授業内容が事務系の資格取得ばかりで、映像を少し触る程度の場合が多いです。一方、専門的な芸術系短大を選べばしっかりとした映像制作を学ぶことができ、映像制作会社への就職も可能です。
映像系・短期大学のメリット
短大の専門性によりますが、2年で映像制作のスキルと、短期大学士の資格を得ることができます。卒業後、大学に編集する道もあります。
映像系・短期大学のデメリット
映像を専門的に学ぶ授業が少ない短大を選ぶと、映像技術を身に付けることができません。
映像系・4年制大学
映像系の4年制大学では4年で一般教養+映像制作・動画編集などのスキルを学ぶことができます。卒業すると学士の資格を得ることができます。
映像系・4年制大学のメリット
4年制大学のメリットは大卒資格が取れることです。テレビ局や大手広告代理店などに就職をする場合や、映像業界以外の大手企業などへの就職には大卒資格が必要な場合がほとんどです。少しでも迷いがあれば大学を卒業することをおすすめします。
10代でまだやったこともないジャンルの仕事を一生の仕事と決断するのはリスクがあります。やってみて「何か違うな」「別のことに興味がわいてきたな」というのはよくあることです。
大学では4年間考える猶予があります。また映像・動画関連の大学や学部を出ても、映像業界以外にも就職することができます。
映像系・4年制大学のデメリット
4年制大学のデメリットは専門学校と比べて就学期間が長いことです。また大学にもよりますが、学問として映像を研究対象にしている学部もあるので注意しましょう。その場合、技術はあまり身に付きません。
迷いが少しでもある場合は、ゆっくり時間をかけて考えてみてください。まずは自分のスマホで動画を作ってみましょう。もし続けられそうであれば見込みがあるかもしれません。もし続かない、やってみてあまり興味がわかなかった場合、もう一度どうすべきか検討しましょう。
2.有料の動画編集スクールを受講する
有料の動画編集スクールは、認可されている大学や専門学校以外の法人や組織、個人が行っている講座のことです。色々なスキルを動画で学ぶことができます。受講スタイルは教室に通うものから、オンラインで一定期間受講するもの、1本辺りで購入・視聴できるものまで様々です。有料の動画編集スクールのメリット
有料の動画編集ラインスクールのメリットは、必要なスキルを必要なだけ身に付けることができるところです。
専門学校や大学などでは必要ないと思う勉強もする必要があります。しかし動画編集スクールでは、動画制作に必要なスキルに特化して学ぶことができます。スクールによってはいつでも視聴や質問できますし、辞めたい時はいつでも辞めることもできます。
また最近の動画編集スクールは就職サポートや、案件紹介など、社会人の副業や就職支援などを手厚く支援している学校もあります。本格的に短期で動画編集スキルを身に付けるには動画編集スクールがおすすめです。
有料の動画編集スクールのデメリット
有料の動画編集スクールのデメリットは、スクールの質に差があることや、料金がそこそこ高いスクールが多いことです。
いま、動画編集スクールはすごい勢いで増えています。もちろんデジタルハリウッド系のスクールのような信頼感のある動画編集スクールもあれば、中には技術力に課題がある動画編集スクールや、「翌月から月収30万円!」などと稼げることをアピールしているなんとも不確かなスクールもあります。
動画編集スクールを選ぶときは、しっかりとした法人(株式会社など)が運営している動画編集スクールを使うことをおすすめします。所在が明らかでないSNSインフルエンサーやYouTuberなどの講座や、ネットサロンの中には何十万円もする高額な講座かつ質の低いものも多くあるので注意してください。購入前に必ずサンプル動画やレビューコメントを参考にしましょう。
3.映像制作会社に就職する
映像制作会社に就職するメリット
映像制作会社に就職するメリットは働きながらスキルと実績を身に付けることができるところです。
映像制作会社は人手不足であることが多いです。会社によっては薄給、激務ではありますが、若い体力がある人であれば未経験でも即採用される場合があります。
映像制作会社に就職するデメリット
映像制作会社に就職するデメリットは、給料が安く激務な場合があることです。
また会社の方針によっては何年間もアシスタント業務ばかりで機材に触れさせてもらえない場合もあります。20代後半までずっと修行で、スキルが身に付かないことも大いにあり得ます。
入社前にちゃんとした会社かどうかしっかり調査しましょう。
5.独学で映像制作を学ぶ
独学で映像制作を学ぶメリット
独学で映像制作を学ぶメリットは、いつでも自由に勉強できるところです。最近は書籍やインターネット検索、YouTubeなどでいくらでも映像制作や動画編集の情報を学ぶことができます。
YouTuberになりたい人や、ちょっとした副業、仕事の幅を広げたい人などであれば独学でもまったく問題ありません。
独学で映像制作を学ぶデメリット
独学で映像制作を学ぶデメリットは、続けるために強い意志がいることと、独学の限界があることです。
これはどのジャンルの勉強にもいえますが、特に専門的な制作スキルを学んでいくと、どこかで壁に当たります。その時に、有料の講座を受けて補足してもいいし、そこで初めて専門の学校への入学を決めてもいいでしょう。
今はスマホと無料アプリでそこそこ動画を作れる時代なので、まず最初に独学で勉強し、そこから次にステップアップするのが私は一番良いと思います。
お金もあまりかからないし、自分に適性があるかどうか分かります。どのルートで映像を学ぶかは別で、まずは独学で始めることをおすすめします。
学ぶ映像系のジャンルについて
『映像』や『動画』『アニメ』は同じように見えますが、実はジャンルによって必要なスキルが違います。目的のジャンルにあったスキルを学ぶようにしましょう。
『映像』と『動画』の違いと必要なスキルとは
『映像』といえば映画やCM、テレビをイメージすることが多いでしょう。一方、『動画』というとYouTubeやSNSなどインターネットコンテンツのイメージです。
調べてみても明確な定義はまだないようです。しかし、明らかに両者の間には大きな違いがあります。それは必要なスキルです。
例えば、『映像』ジャンルのテレビでは業務用カメラの操作、音声マイク、プロ用編集ソフトなど、何らかの専門的なスキルが必要です。
一方、YouTubeなどの『動画』では、企画さえおもしろければ、動画作りのスキルがあまりなくてもスマホひとつで作れてしまいます。
もし映画やCM、TVなどの映像業界で働きたい場合は、分業化された何らかのプロフェッショナルなスキルを身に付ける必要があります。一方、YouTubeなどの動画業界はアイデアと実行力があれば、制作スキルは重要でないといってもいいでしょう。
専門学校でいうと、映画やTVなどの映像系と、YouTubeなどのネット動画系の科やコースが明確に分けられています。自分の目指すべきジャンルのスキルが学べる学校や講座などを探すようにしましょう。
『アニメ』の定義と必要なスキルとは
『アニメ』はここでは第3のジャンルとして解説します。
『映像』や『動画』を実写主体とすれば、アニメーションはコンピューターグラフィック(CG)を主体としたコンテンツです。
CGには2次元の2DCGと、3次元に見える3DCGがあります。また映像そのものをコンテンツとして楽しむアニメと、ゲーム内のキャラクターやシーンなどで使用されるゲームアニメーションがあります。
専門学校を調べると、『映像』や『動画』系とは明らかに違うアニメーションの科やコースがあります。アニメ系の科では『アニメーション』『CG』『3DCG』『ゲーム』といったワードが掲載されています。
これは『映像』や『動画』に必要なスキルとはかなり違ったものです。もちろん一部被ったスキルもありますが、明確にアニメーションを作りたい場合は、当然ですがアニメーションを専門的に学べる学校を選ぶようにしましょう。
映像系の学費について
映像関連の学校などで学ぶ費用は、専門学校や大学などの学費は年間100万円~、短期コースやオンラインスクールは数千円~数十万円のものが多いです。
また通常の学費以外に映像系の場合、動画編集用パソコンの購入が必須であることが多いです。1台20万円程度が目安です。動画撮影に特化した学校であれば、さらにカメラの購入が必要な場合もあります。学費以外の面でも費用があることを覚えておきましょう。
映像系専門学校の平均学費
2年制専門学校(48校)の卒業までの学費を基に計算した結果、2年間の平均学費は2,257,889円でした。
※入学金含む。教材費などは含まない。
映像系短大の平均学費
2年制短期大学(5校)の卒業までの学費を基に計算した結果、2年間の平均学費は2,283,200円でした。
※入学金含む。教材費などは含まない。
映像系大学の平均学費
4年制私立大学(5校)の卒業までの学費を基に計算した結果、4年間の平均学費は6,099,412円でした。
※入学金含む。教材費などは含まない。
奨学金について
専門学校や大学では学費の詳細ページに必ずといっていいほど奨学金や支援制度について書いています。
奨学金には返さなくてもよい『給付型』と、返す必要がある『貸与型』があります。どちらも条件があり、それを満たせば支援の対象になります。
給付型奨学金について
給付型奨学金とは返済しなくてもよい奨学金です。ただし審査は厳しく成績が優秀であることや、家庭の経済事情などの条件をクリアする必要があります。また金額も月数万円程度と、学生生活にかかる費用すべてをカバーするのは厳しいです。
【参考】独立行政法人 日本学生支援機能
貸与型奨学金について
貸与型は借金です。日本政策金融公庫(国の教育ローン)は1名に付き最高350万円借りることができますが、返済の義務があります。卒業後、350万円の借金を10年で返済しようとすると月々3.2万円になります。
【参考】教育ローン用 返済シミュレーション
もちろん借金は決して悪いものではありません。時間はお金で買って元に戻せませんが、借金は働いてコツコツ返すことができます。「あの時、学校に行っていれば…」と思うこともあるかもしれません。保護者への相談や自分の貯蓄を考えて慎重に考えてください。
新聞奨学生制度について
また、新聞奨学生制度を使うのも手です。国内大手新聞社と契約し、学生中は新聞配達の業務などを行う代わりに給与の支払いと学費を支援してもらえる制度です。
日経新聞は『学費全額貸与』『4週6休・集金なし』『住居費無料(完全個室、シャワールーム、シャワートイレ完備、エアコンまたはクーラー完備』などの条件になっています。
【参考】日本経済新聞育英奨学会HP
ただし新聞奨学生制度のデメリットとして「すごくキツイ」という声があります。新聞配達+学業+プライベートというスケジュールなので時間の余裕はありません。
自分でスケジュール管理ができるアルバイトで、自由に学生生活を送るのも手です。自分にあった最適な方法を検討してみてください。
映像系学校の通学方法について
映像制作・動画編集が学べる学校の通学方法ですが、『通学』『夜間』『オンライン』などの方法があります。専門学校や大学などはほぼ通学です。中には社会人向けに夜間対応している学校もありますが少ないです。
通学
インターネット速度が高速になった今、大学や専門学校でもオンライン化が進んでいるかと思いきや、調べてみるとほぼ『通学』でした。
現在、一時的にオンラインでの講義を受けざるを得ない事情もありますが、基本的に大学、専門学校など国に認可されている教育機関は通学が基本の様です。
夜間・週末
最近は社会人の学び直しや副業が流行っています。映像関連のスキルは人気なので、まだ少ないですが夜間・週末対応の学校や短期講座もあります。
オンライン
オンラインスクールは当然として、民間の短期講座などでもオンラインで講義を受けることができます。いつでも受けられて便利なのが特徴です。
映像・動画関連学校の選び方
映像・動画関連学校の選び方で重要な項目をまとめました。以下の点を特に注目してみてください。
・通える地域
・目的に合った講義内容
・生徒が制作した映像作品の質
・講師
・卒業生の進路
・学費
通える地域
入学してみたい学校や、受けてみたい講座を見つけても、自分の住んでいる地域と離れている場合があります。学校の近くに引っ越すという選択肢もありますが、費用がかかります。
映像・動画系の学校は東京、大阪、愛知、福岡などの大都市に集中しています。しかしそれ以外の地方でも映像・動画系の学校は増えています。
将来的に映像・動画系の会社に就職する場合は、やはり大都市に制作会社が集中しているので、それを見越して検討するのもよいでしょう。
目的に合った講義内容
映像・動画系の学校は、学びたい内容主体の学校を選ぶようにしましょう。映画の仕事がしたいのにゲームCGの講義が多い場合や、YouTube・ネット系動画の仕事がしたいのにTV主体の制作が多い場合もあります。
公式ホームページの確認や、無料パンフレットの取り寄せ、体験入学など積極的に参加して目的にあった学校を選びましょう。
生徒が制作した映像作品の質
学校の公式ホームページには、生徒が課題で作った動画が掲載されていることが多いです。どのくらいのレベルのものを作っているか確認しましょう。
公式HPに載っているということは、その学校が掲載してもよいと判断している優秀な学生の動画ということです。その動画の質をみれば、その学校の教育レベルを判断することができます。
講師
映像・動画系の学校の公式ホームページには、講義を担当している講師のプロフィールが載っていることが多いです。どういった経歴で、どんなスキルを持っている先生か確認しましょう。映画系、テレビ制作系、アニメーション系など経歴やスキルは様々です。
卒業生の進路
映像・動画系の学校の公式ホームページには、卒業生の進路情報が載っていることが多いです。どんな会社に就職したのか確認しておきましょう。自分の目指している業界の会社が多ければ良いですが、映像・動画系とは関係ない会社が多い場合は注意が必要です。
ただし、地方の学校の進路先情報をみると「聞いたことない映像制作会社だなぁ」と思うかもしれませんが、調べてみると良い会社であることもあります。有名=良い会社ではありません。知らない会社が載っていたらぜひ検索して調べてみてください。思わぬ優良企業が見つかるかもしれません。
また学校名をWikipediaで検索すると有名な映画監督などの卒業生情報が載っている場合があるので調べてみましょう。
学費
学費はすでに解説しましたが、まだ高校生の場合は保護者とよく相談して検討しましょう。社会人の場合も貯蓄額や将来性を見越して検討してください。
おすすめの映像・動画が学べる学校
ここまで読んで、ある程度、自分の求めている学校やオンラインスクールの傾向が見えてきたと思います。
ここからは具体的なおすすめの学校を種類を別けて紹介します。
おすすめの映像・動画系専門学校
映像制作・動画編集が学べるおすすめの専門学校情報をまとめた記事を作りました。参考にしてください。
おすすめの映像・動画系短期大学
おすすめの映像・動画系短期大学は、あまり多くありません。短期大学は2年で一般教養+専門知識を学ぶ学校なので、どうしても専門的な内容が少ない傾向があります。男女共学といっても、女性比率が高く、授業内容も事務職用の資格取得がメインであることも多いです。
現在、調査した短期大学の中では、大阪芸術大学短期大学部がおすすめです。メディア・芸術学科のメディアコース・放送は、短大としてはかなり本格的な映像制作の授業があります。
卒業後は、大阪芸術大学にそのまま進学するという手もあります。
おすすめの映像・動画系大学
映像制作・動画編集が学べるおすすめの大学をまとめた記事を作りました。参考にしてください。
おすすめの映像・動画系スクール、オンラインコース
おすすめの映像・動画系スクール、オンラインコースをまとめた記事を作りました。参考にしてください。
動画編集を学ぶ方法まとめ
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